〜いつか子どもが巣立つ日に読む手紙〜

拝啓
君がこの手紙を読む頃、もう家にはいないのかもしれないね。
進学か、就職か、それとも自分の夢を追いかけるためか。理由は何であれ、君は自分の足で新しい道を歩き始めているのだろう。
今、父さんはまだ小さかった頃の君を思い出している。
初めて抱っこした日のこと。 小さな手で指を握ってくれたこと。 夜中に何度も起こされて眠れなかったこと。 自転車の補助輪を外して、一人で走れた日の誇らしそうな顔。
その一つひとつが、まるで昨日のことのように思い出される。
父さんは昔、「早く大きくなってほしい」と思っていた。
一人でご飯を食べられるように。 一人で着替えられるように。 一人で学校へ行けるように。
けれど、本当に君が大きくなるにつれて、今度は「もう少しゆっくりでもよかったのにな」と思うようになった。
子どもの成長は嬉しい。
でも少しだけ寂しい。
それが親というものなのかもしれない。
父さんは完璧な親ではなかった。
忙しさを理由に話を聞けなかった日もあった。 つい感情的に怒ってしまった日もあった。 もっと一緒に遊べばよかったと後悔することもある。
それでも君が笑ってくれるだけで、「また頑張ろう」と思えた。
仕事でうまくいかなかった日も、疲れて帰った日も、家のドアを開けた先に君がいた。
それだけで十分だった。
君は知らないだろうけれど、父さんは何度も君に救われてきたんだ。
これから先、人生には思い通りにならないこともある。
努力しても結果が出ない日。 大切な人と別れる日。 自分の価値が分からなくなる日。
そんな時は無理に強がらなくていい。
立ち止まってもいい。 遠回りしてもいい。 誰かに頼ってもいい。
父さんが君に願うのは、成功することではない。
幸せになることだ。
それも、誰かと比べた幸せではなく、自分で「これでいい」と思える幸せ。
世の中には正解よりも、自分なりの答えを見つけることの方が大切な場面がたくさんある。
だから、自分の人生を生きてほしい。
父さんや母さんの期待のためではなく、君自身のために。
そして、もし疲れたら思い出してほしい。
どれだけ離れていても、帰る場所はあるということを。
何歳になっても、君は私たちの大切な子どもだ。
小さな靴を履いていたあの日も。 反抗期でほとんど口をきかなかった日も。 そして今、自分の人生を歩き始めたこの日も。
父さんにとって君は、ずっとかけがえのない存在だ。
最後に一つだけ。
ここまで育ってくれて、ありがとう。
たくさんの思い出をありがとう。
父さんを父さんにしてくれて、ありがとう。
遠くからでも、いつまでも応援している。
おつかれ。
そして、いってらっしゃい。
敬具
父より。
運営者プロフィール

hosota9 | パパブロガー
IT企業で働く30代パパ。
仕事と育児の両立に悩みながらも、「自分らしい生き方」を模索中。
このブログでは、子育てのことや副業・個人開発のこと、日々の気付きなどを発信しています。
今日のひとこと
「完璧なパパ」より、
「笑っているパパ」でいよう。

